ごあいさつ  会長 吉田和正

 新しい年を迎え、健友会の皆様におかれましては、益々ご健勝のことお慶び申し上げます。日頃は健友会の運営にご尽力を賜り、厚くお礼申し上げます。

 

 さて、昨年度は、卒業生交流会が中止、健友会理事会も集まって議論するのではなくメール会議(郵便会議)での開催になりました。4月にマテリアル工学科の新同窓会(名材会)が設立され、5月にはマテリアル教室の教授と名材会会長、共晶会、健友会の三同窓会でこれまでの合意内容と今後はそれぞれの同窓会がホールディングスの下の組織として独立して運営していくことを確認しました。講演会・卒業生交流会などの行事を協力して運営し、最終的には統合を予定しています。学科統合に伴うすぐの同窓会の統合はなくなりましたが、今後はゆるやかな連携を保ちつつ統合の方法を検討していくことになります。ホールディングスの初代会長は共晶会から選出し、任期は二年と決定しました。世の中の状況次第ですが、卒業生交流会は来年度の春から初夏にかけて対面で行うことになりました。

 

 話題を変えますが、昨年1月に米国では政権が代わりバイデン大統領が誕生しました。バイデン大統領はパリ協定に復帰し、中国の習近平国家主席も日本の菅総理も脱炭素社会へと舵を切りました。投資家の間でもESG(環境・社会・企業統治)を重視した投資意欲が高まっています。つい先日もCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)が会期を延長して協議が行われました。石炭火力発電廃止の見送り等、化石燃料からの脱却は温室効果ガスの主要排出国から消極的な姿勢が見られ、気候変動対策をめぐる世界の分断があらわになりました。我々の身近においても毎年のように各地に大きな爪痕を残す豪雨を経験したり、昨年は梅雨入りが早かったり(一部の地域は後日訂正されましたが)、夏の長雨や10月と思えないような暑さとなり異常気象を感じています。カーボンニュートラル、脱炭素社会、再生可能エネルギー等の言葉を聞かない日はなく、エネルギー計画の見直しや変更のタイミングに来ていると思います。

 

 一方国内では、 菅内閣は10月4日の臨時閣議で総辞職し、一昨年9月の発足から一年余りの政権でした。新型コロナウイルス対応の遅れや首相自身の発信力不足が批判され支持率が低下し、衆院選を目前に控え任期満了に伴う自民党総選挙への出馬を断念し退陣を選びました。菅内閣は携帯電話料金の値下げやデジタル庁創設を実現、東京五輪・パラリンピックは一年延期で開催にこぎ着けましたが、ほとんどの会場は無観客で経済効果は見込めませんでした。内閣支持率は8月の世論調査で31.8%と自民党が2012年末に政権を奪還して以降で最低となりました。ワクチン接種の進展により世論の支持を回復できると期待しましたが、コロナ感染の急拡大を防げず、退陣意向を示しました。その後の衆院選では、自民・公明が過半数獲得しました。岸田首相は続投し、立憲民主党は野党共闘の成果が限定的で振るわず、日本維新の会は躍進しました。与野党の幹部や閣僚を務めた「大物議員」が小選挙区で相次ぎ敗北し世代交代が進み、時代の変化を感じました。

 

 現在、新型コロナウイルスの新規感染者数が全国的に低い水準で推移していますが、海外では鎮静化から感染再拡大に転ずる国があります。冬場に差し掛かり第六波を懸念する声もあり、まだまだ安心はできない状態でいろいろな変化を受け入れないといけないと思います。安堵と不安が交錯し、何とも落ち着かない日々を暮らしています。

 コロナに怯えて二年。今年こそは心が晴れる一年ならないか、誰もがそう願わんばかりと思います。最後に皆様が企業、大学等で尚一層ご活躍されることを祈念致しまして挨拶とさせていただきます。