退任教員挨拶  片桐誠之

 2020年3月末日をもちまして、名古屋大学を退職いたしました。教室の皆様、健友会の皆様には、これまで大変お世話になりましたこと、心から感謝し御礼申し上げます。

 

 振り返ってみますと、2002年4月に精密分離工学講座(入谷研究室)の助手として採用いただいてから18年が経過しました。農学部の出身で、化学工学がわかっていない者に対して、温かく接していただき、またご丁寧にご指導くださり誠にありがとうございました。様々な経験をして、なんとかこれまでを過ごすことができましたし、個人的には、皆様方のお力添えのおかげでとても充実した18年間であったと感じています。

 

 研究面では、微生物や生体高分子の分離特性の解明、生物機能と分離技術を駆使した新しい技術の創出などを目指してきました。まだ道半ばでありますが、名古屋大学での研究生活で得たものを活かして、今後も目標に向かって精進して参ります。研究室では、入谷英司先生から多くのことを学びました。研究に対する取り組み方、学生の指導の仕方、研究室の運営方法、雑務のこなし方など。また、入谷先生が化学工学会賞学会賞や研究賞など様々な賞を受賞されるのを間近で見て、研究分野の発展に寄与することの責任の重さを感じました。

 

 18年の間には、多くの学生を指導する機会に恵まれ、卒業生が健友会会員として、また社会人として活躍される様子を目の当たりすることができました。卒業生の皆さんと過ごした名古屋大学での日々も懐かしく、とても良い思い出となっています。

 

 現在、名城大学理工学部環境創造工学科で准教授を務めております。担当する講義と配属される学生の数が多く、これまでとは異なった生活となっておりますが、とても充実した日々を楽しんでおります。研究では、汚れた水を資源として再生することを目標に掲げ、膜濾過、圧搾、凝集・沈殿などの各種の固液分離技術の高度化とともに、生物処理と分離技術との融合により生物機能を最大限に活かす水処理・水資源循環利用技術の開発に取り組んでいます。環境分野ではありますが、化学工学会の活動には積極的に参加したいと考えております。今後も変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。

 最後になりましたが、皆様のご健康とご多幸、化学工学教室の益々の発展をお祈り申し上げます。