Chem-E-Carトライアルへの参加  名古屋大学チーム世話役 町田 洋

 化学工学会第50回秋季大会前日にChem-E-Carトライアルが開催され、名古屋大学チームとして参加いたしましたので、報告いたします。


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日時:平成30年9月17日(月) 9:00~15:00
場所:鹿児島大学工学部化学生命工学科棟 分析化学実験室(1F)および42講義室(2F)
企画概要
化学工学会学生会員による、企画・立案・設計・運営能力を養うことを目的として、化学反応で動く車を製作して競技を行う競技会を開催する。今回は一般公募に先駆けて行う試行として希望する大学の参加を募り、準備と運営における課題を見出すことも目的とする。
参加大学 全7チーム:東北大・仙台高専合同チーム,東工大チーム,名古屋大チーム,京都大チームNo.1,京都大チームNo.2,岡山大チーム,鹿児島大チーム
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 本トライアルは名大化学工学分野の授業で取り組んできたプロセス基礎セミナー「化学反応で動く車をつくろう (Chem-E-Car competition)」のルールにのっとり、レールも名大から鹿児島大に輸送して実施されました。企画運営は名大から鹿児島大に栄転された二井先生と名大の山田先生が中心でなされました。ご苦労様でした。


 簡単なルール説明としては、化学反応で動く車を作り、競技会当日に車体に載せる重りの重量、走行距離が発表されるので、所定の重量を付加した状態で走行距離に近いチームが上位となります。当日までに化学反応で進む車体を完成させ、重りと走行距離の関係をあらかじめ試走することで求めておくことが重要となります。


 名大のチームはM1学生 6名(則永・後藤研)と授業でChem-E-Carを体験したB3学生4名で構成しました。B3学生の経験などから、空気マグネシウム電池を駆動原理に使用し、停止方法としてはマグネシウム回路を所定時間で塩酸溶液により切断する方法を採用しました。回路の切れる時間は塩酸濃度で制御します。開始から2週間程度で車体、電池は完成し、空気マグネシウム電池を3つほど直列でつなぐことで、最大荷重500gでも走行できることが確認されました。その後、M1学生がインターン時期に突入し2週間ほどブランクが空くこととなります。本番一週間前より、回路を切断し、所定の距離で止める実験を繰り返し、再現性に悩まされながらも、ある程度のデータをためました。


 鹿児島では前日に軽く壮行会を行い、本番に臨みました。大きなトラブルとしては、使用していたマグネシウムリボンが、飛行機に持ち込めないとのことで、あらかじめ輸送したのですが、到着品が見たことないほど錆びていたということです。これまでのデータが使えないどころか、走るかどうかも危うい状況に陥りました。当日の準備期間に試行錯誤した結果、塩酸溶液に浸し、表面を削ると電圧が元通りになることが分かり、走ることには成功しました。停止の際の回路の切断にもマグネシウムリボンを利用していましたが、錆びた分の補正は学生の勘での調整になりました。
 そんなこんなで、本競技会となりました。目標距離9.5m、重り150gと発表され、各大学2回走行しました。いずれのチームも原理も異なりましたが、しっかり走る車でした。1回目の時点では名大は4位(4.65m)に位置していましたが、距離を延ばすべく調整したところオーバーしてしまい、総合順位では6位と沈んでしましました。1位の京都大No.2は9.48mと誤差2cmと大変すばらしい記録でした。


 夕方には懇親会も開催され、競技会に参加した教員、学生のほとんどが参加し交流を深められました。各大学チームから一言ずつ苦労話の発表がありましたが、東北大・仙台高専合同チームの特に高専の学生は1ヶ月寝る間も惜しんで車体作製に勤しんだとのことで、本気度に感服するばかりでした。化学工学会会長の阿尻先生も参加されており、次回以降の開催も前向きに検討することのようでした。


 最後に健友会より競技車両作製に補助をいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

 

 

 

 

 

 

 

車両セットアップ中。

 

事前の調整どおりに車両が走らず苦戦中。

 

 

 

 

 

 

快走中?