新任教員挨拶  則永行庸

 健友会会員の皆様には、お元気で御健勝のこととお慶び申し上げます。平成29年4月より工学研究科化学システム工学専攻先進化学工学システム講座循環システム工学分野を担当させていただいております則永行庸と申します。
 私は、平成6年に北海道大学工学部応用化学科を卒業、平成11年に博士の学位を取得しました。その後、東北大学反応化学研究所(現 多元物質科学研究所)、ドイツ・カールスルーエ大学化学技術研究所、北海道大学エネルギー変換マテリアル研究センター、九州大学先導物質化学研究所を経て、名古屋大学に参りました。学生時代は、小樽でヨット競技に熱中しており、蒲郡市の海陽ヨットハーバーで開催された全日本インカレ(平成5年)、わかしゃち国体(平成6年)に出場したのが忘れられない思い出です。
 卒論研究以来一貫して石炭・重質油・バイオマスをはじめとする炭素資源の転換反応工学に関する研究を続けてきました。私の研究の特長は、反応器内で起こる現象を化学反応の最小要素である素反応まで分解し、モデリングすることです。さらに、反応速度モデルと流体モデルを連成し、反応器スケールまでビルドアップすることによって、素反応からプロセス設計までをカバーする新しい反応工学の体系化に向けた学術研究を展開しています。数値計算だけでなく、モデルの妥当性を評価する実験技術にも長けている点も特長と考えており、産業界からのご支援を頂きながら、現在、超耐熱材料製造、CO2有効利用、次世代石炭ガス化、劣質炭利用製鉄用コークス製造等に関する研究も進めています。
 名大化工の1つの分野を担当させていただくにあたり、諸先生や同窓生の皆様方が築いてこられた輝かしい伝統を汚さぬよう、大きな責任を感じております。化学の原理から経済性評価を含めて、俯瞰的に技術開発の方向性を決断できる、将来的に産業界をリードする人材の育成を目指し、本学の発展に貢献できるよう努力する所存です。何卒、ご指導、ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。